小島大虎 ロードアート ギャラリー

旅行風景画のインターネット・ミュージアム

▶︎INFORMATION〈ご案内〉

 

小島大虎 ロードアート ギャラリー へようこそ。

https://daigokojima.hatenablog.com

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ここでは、絵画作家・小島大虎(こじまだいご)のライフワークとする旅行風景画を、そのスクリプト文章(旅先でのエピソードや作品への思い)と共にご紹介。随時、作品を追加します。

 

また、巡回作品展などの原画の公開情報や現在の活動の様子、ご連絡・お問合せ先については↓

小島大虎 旅行風景画 作品展製作・運営事務局

ラウンドライブ

https://roundlive.hatenablog.jp

 

 

 

▶︎PROFILE〈プロフィール〉

小島大虎 Kojima, Daigo

絵画作家/旅行風景画家


【略歴】

1968年 名古屋市生まれ

1990年 絵画制作を開始。

1993年 米国ニューヨークに滞在。

1995年 オーストラリア各地での制作旅行以後、断続的に日本全国・海外(アラスカを含むアメリカ、アイルランド、イタリア、フランス、スペイン、ポルトガルなど)の各地で旅行風景画の作品制作活動。旅行風景画の制作と発表(=ロードアート)をライフワークとする。


2001年 初の個展「旅の生活」(名古屋)

2004~2005年 巡回作品展「海岸鉄道」(岐阜・多治見・四日市豊橋・浜松・静岡・名古屋の七会場)

2011年 小冊子作品集「ロードアート・ブックレット」シリーズ(美術出版 原青社 刊)を開始(シリーズ第10集まで) ※現在販売停止中

2014年 10週5回連続の作品展「夏への道のり(第一回~第五回)」(名古屋)

2017年〜 巡回作品展「旅風景の回り道」(東京・京都・奈良・岐阜など)を開始

〈小島大虎 ロードアート ギャラリー〉

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【お問合せ先】

ラウンドライブ

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四日市港 / Port Of Yokkaichi

 今にも雨が降り出しそうな天気だった。 巨大な船が港の水の上をすべり、何隻も行き交っていた。 
 日本の国旗を付けた船が見えた。 外国から戻ったということだろうか。 それともこれから沖に出るのだろうか。 船での暮らしというものはどういうものなのだろうか。 何日も何週間もかかる航海で、休日はあるのだろうか。 あるとすれば海の上でどう休日を過ごすのだろうか。 ■


Artwork & Note: DAIGO KOJIMA 
2004/11041201
PICTURE:348×242mm
FRAME:508×393mm/G4

 

窓辺 / Window

 リスボンには、窓辺を飾る「意地」がある。 ただの窓はまずない気がする。 これは病院の窓辺。 ■


  In Lisbon, there is a "meaning" to decorate the windowsill. I think there aren't any windows with nothing to decorate.  This is the window of the 
hospital.  ■


Artwork & Note: DAIGO KOJIMA 
2004/11040708
PICTURE:213×253mm 
FRAME:423×347mm/G3



リスボンの空 / Empty Sky In Lisbon

 

 木蔭のベンチに座り、ふと上を見上げた時の風景。 窓の隙間からはひょっとするとこの家の誰かがこっちを見ていたかも知れない。 
 こういう角度の風景画はあまりないと思うし、この古びた建物の装飾も楽しい。 時刻は夜の八時くらいじゃなかったかな?夏だったので日が長く十時くらいまでは、昼間というかんじの明るさだったと思う。
 最初ローマからフィレンツェトリノに寄ってジェノバに入り、ニースを通ってそのまま地中海の海岸線をバルセロナに行って、イベリア半島の内陸をまっすぐ通ってマドリード、そして今ここにいるリスボン、という長い日程だった。 
 三週間くらいずっと毎日絵を描きながら旅をしていいかげん疲れていた。 制作上のさまざまな疲れだけでなく、旅の移動や分からない言葉、食事、小さなトラブルの数々、楽しいことももちろんあったけど、リスボンに着いた時はようやくこれで日本に帰れるなと思った。 疲れか安堵か、だからベンチに腰掛けて思わず空を見上げたのかも。 ■


  The scenery when I sit on the bench in the shade and looked up at it.  Perhaps someone in this house might have seen me through the window. 
  I think there are not many landscapes at this angle, and the decoration of this old building is also fun.  I guess it was about 8 o'clock in the evening. Since it was summer, I think the daytime was bright until about 10 pm.
  First, from Rome to Florence or Turin, enter Genoa, go through Nice to the Mediterranean coastline to Barcelona,   go straight inland on the Iberian Peninsula to Madrid, and then to Lisbon, which is now here.
  I was tired to travel while painting every day for about three weeks.  Not only were there a lot of tiredness in the production, but there were of course travel, unfamiliar words, meals, small troubles, and a lot of fun, but when I arrived in Lisbon, I finally thought I could return to Japan.  Tired or relieved, so maybe I sat on a bench and looked up at the empty sky in Lisbon. ■

 


Artwork & Note: DAIGO KOJIMA 
2004/11040706
PICTURE:278×213mm 
FRAME:423×347mm/G3

 

 

公園の樹 / Garden Tree

 女の絶叫が聞こえた。 そちらの方をよく見ると、女は立っていて、ベンチに座った男が叫ぶ女を静かに見ているのが、私から少し離れた場所に見えている。 
 男女間の喧嘩のようだったが、しゃべっている内容までは分からない。 「大変だな」と何となく思った。 女の絶叫ぶりが半端ではなく、近隣住民のみんなに聞かせてやる、というくらいの大声、わめき声だったのだ。 
 しばらくすると男は静かにベンチを立って、俺を見つけて歩いてくると「タバコを一本くれないか」と穏やかに言った。 ■


  I heard a woman screaming.  When I look over there, the woman is standing, quietly looking at the screaming woman of the man sitting on the bench, 
a little far from me.
  It seemed like a quarrel between men and women, but I don't understand what they are talking about.  Somehow I thought, "Terrible." 
  The woman's screaming was not odd, it was a howling and screaming that would let everyone in the neighborhood hear it.
  After a while, when the man quietly stood on the bench, found me and walked, he gently said, "Can you give me a cigarette?"  ■ 

 


Artwork & Note: DAIGO KOJIMA
2004



フィレンツェの夏 / Summer Of Firenze

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 イタリアのフィレンツェは街ごと見応え充分の、世界的観光地だ。 世界中のあらゆる国から旅行者が集まってくるようだ。 中世の時代から文芸復興という、大きな革命みた 
いなものが起きた歴史的背景が、何といっても心を揺さぶる。 
 ふだん、観光地へ行ってもあまり絵を描かない。 なぜだろう? 考えられる理由の一つとしては、観光地は何となく気ぜわしくて疲れるからだ。 
 それでも真夏の青空の下、歩くのに疲れて休憩したところで普通っぽい目線でいくつか描いたうちの、これはその一枚。 
 アルノ川のほとりの街路樹の蔭から、美しい鐘楼とそのまた向こうに白い雲が見える。 わざとらしく塔を飾っているようだ。 ■ 

 


2004/11040702
PICTURE:308×199mm 
FRAME:423×347mm/G3

 

 

ホテル・ピエモンテーゼ / Hotel Piemontese

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 雨が降っていた。 雨では表で絵が描けない。 イタリア・トリノにあるこのホテルでは、この天窓のラウンジスペースが新設された。 フロントの若い女性スタッフはサービス 
が良くて、絵を描いている途中で飲み物をふるまってくれたり、スナック菓子を出してくれたりしながら、絵の進行状況を気にしていた様子だった。 ■
2004 
個人蔵

ジェノヴァの坂道 / Stairs In Genova

 イタリアの歴史ある古い街。 この長い階段の途中で午後一時から四時まで描いていた。 
 左手のドアからで入りするアパートメントの住民の何人かは幾度も挨拶を交わした。 下から大きな荷物を持った老婆を手伝ったり、住民と立ち話をしていた。 自分の奥さ 
んを連れてきて自慢している男もいた。 ■

 

2004

 

 

水鳥 / Swimming Bird

 市街地には大きな公園があり、「ロストラグーン」という名の池があった。 夕方、池のほとりのベンチに座っていると、気さくな水鳥達にあっという間に包囲されてしまった。 ■

 


Artwork & Note: DAIGO KOJIMA 
2004/11040608
PICTURE:200×130mm 
FRAME:378×287mm/G2

 

 

木かげ道 / Shady Street

 ちいさな黒いリスがいるのが分かりますか?
 バンクーバーの静かな住宅街。 土曜日になると個人宅の前のガレージセールや公園でのみの市が開かれていた。 開け放ったアパートメント・ハウスの窓から壁が本でぎっ 
しり埋まった部屋の中が見え、部屋の中で缶ビールを飲んで会話をしている数人が見えた。 文学の話でもしているのだろうか。 科学の話題だろうか。 それとも恋愛? これか 
ら人類はどうなっていくのだろうか?
 後日、何かの調査ではバンクーバーは世界的にみて最も住みよい街の一つに選ばれるのだという話を聞いた。 数日の滞在だったがそれはすごくよく分かる。 ■ 

 


Artwork & Note: DAIGO KOJIMA
2004/11040609 
PICTURE:328×217mm 
FRAME:423×347mm/G3 

 

 

公衆電話のある街角 / Public Phone On The Corner

 最初は公衆電話だけ描こうと思ったが、絵を描いていたのでは誰も電話をかけられなくなってしまう。 新聞の自販機や信号機、歩く人々、街路樹も入れて描いてみた。 
 バンクーバーで滞在していたホテルは住宅街の一角にあるデカイ一軒家であった。 ホテルと言うよりは「邸宅」。 フロントと言うより「小部屋付きの玄関」、ロビーと言うより「大きな居間(暖炉もある)」。 近くに公園、いや公園と言うよりはやっぱり「森」。 大きな池がある。 池からつながる川に沿って数キロ歩くと海岸に出た。 生活感のある住宅街 
だと思っていたがすぐに水着の人々が行きかうビーチがあった。 海岸のランニングコースには多くのランナーが汗を流して走っていた。 
 賑わいのある都会であり、小さな洒落たレストランや商店もたくさんあり、中華街もあり、手頃なビーチもあり、住宅街の雰囲気も良く、自然も豊富で、一週間くらいしか滞在出来なかったけどとても気に入った。
 アラスカでは自分としては充実した制作が出来ていた。 その勢いもあってか、バンクーバーでも描くのが楽しかった。 
 その頃の小さな完成形が出来てきた。 描きたいものが分かってきて、これを着実に捉え、画面に展開できるという、それらの制作のインパクトはその後のベースの一つになっている気がする。 ■

 


Artwork & Note: DAIGO KOJIMA 
2004/11040607
PICTURE:375×270mm 
FRAME:508×393mm/G4

 

フェアバンクス / Fairbanks, ALASKA

 チャールズ・チャプリンの「黄金狂時代」という有名な映画の舞台となっているのはこのアラスカ州のフェアバンクスだという。 
 黄金を求めて金鉱を探り、欲にかられて仲間同士で揉め事を起こす、空腹のあまり靴を食べてしまう、妄想の中でロールパンの見事なラインダンスを披露するなど、世界的な名シーンの数々だ。 奮闘活躍するも美しい女性達から見くびられ嘲笑を受けるチャプリンの姿が心に残っている。 
 現地で知り合い、ガイド役を買って出てくれたクレイさんという男性の父親は石油パイプラインにたずさわったエンジニアの一人で、自分もアラスカの自然が大好きだと言う。
 そのクレイさんに金鉱採掘現場やフェアバンクスを一望する高台にクルマで連れて行ってもらった。 もちろん、チャプリンの映画のような極寒の冬ではなく夏だったから白夜である。 夜でもずっと夕暮れのような景色だった。

 金の採掘現場というのは初めて行ったが往時の面影を一部感じとることが出来た。 採掘に使われる機械がそのまま残っていたからだ。 博物館や記念館などではなく、それは山の中にいきなり現れた。 一体何年くらい前のものか分からないけど、100年位前のものかも知れない、ビンテージものと言っていい錆び付いた機械がそのまま置き去りにされ、野ざらしになっていて、「黄金狂時代」の世界に一歩踏み入れたようだった。 
 あちこちドライブしたり、歩いたりしながら気になることがあった。 現地で「オリジナル」と呼ばれるネイティブ・アメリカン(大陸原住民の末裔)で、生活保護を受け、昼間から酒飲んで酔っぱらってフラフラ歩いている人が何人も見掛けていたのだ。
 過去の原住民の立派な記念像というのも見た。 実際に話もした。 何だか複雑で悲しい現代社会問題がそこにはあるようだった。 ■ 

 


Artwork & Note: DAIGO KOJIMA
2004/11040502 
PICTURE:218×174mm 
FRAME:378×287mm/G2



エルボールーム・キャバレー / Elbow Room Cabaret

 フェアバンクスはこの季節は白夜なので夜になっても夕方のようだった。
 この絵を見て「アメージング!」と大げさに驚いていた男がいた。 彼はクレイさんといって、アンティークショップではたらいている。 
 彼は通りで私が絵を描き終わるのを待って、アラスカの有名なパイプラインや丘からのフェアバンクスの展望風景を見せに、白夜のドライブに誘ってくれた。 年はほぼ同じくらいで、私は片言の英語だったが話していて愛嬌があり、まるで学生時代の友人のようだった。 
 四輪駆動のピックアップ・トラックであっちこっち行って、歩き回ったり話をしたりして、気づくとすでに深夜12時近くになってしまっていた。 よそから来たばかりのものにとって、白夜は時間の感覚が無くなってしまうのだ。 
 深夜近くになり、ホテルに送り届けてもらって別れた。 別れ際、「ムースって動物も見せたいんだ。 夜ばかりの季節にもまた来てくれよ」と言っていた。 ■ 

 


Artwork & Note: DAIGO KOJIMA
2004/11040602
PICTURE:373×277mm
FRAME:508×393mm/G4

 

 

橋 / Bridge

 アラスカの内陸にあるフェアバンクスを旅行中に描いた。 ケーナリバーという川に架かる橋。 現地でクレイさんという男性と知り合って、その日の晩まで、学生時代の友人 のように一緒に過ごしたのが思い出深い。
 この絵を描いていたら、目の前の川岸から小さなゴムボートに五、六人くらいで乗り込んでいく酒を持った若者達がいた。 すでに酔っているようでもある。 クレイさんと心 配になって「危なくないかー?」と声をかけてみたが、「大丈夫だよー!」と陽気に叫んで漕ぎ出して行ってしまった。 あいつらは今頃生きているだろうか。 ■

 

Artwork & Note: DAIGO KOJIMA 
2004/11040604
PICTURE:363×288mm
FRAME:508×393mm/G4