フェアバンクス / Fairbanks, ALASKA
チャールズ・チャプリンの「黄金狂時代」という有名な映画の舞台となっているのはこのアラスカ州のフェアバンクスだという。
黄金を求めて金鉱を探り、欲にかられて仲間同士で揉め事を起こす、空腹のあまり靴を食べてしまう、妄想の中でロールパンの見事なラインダンスを披露するなど、世界的な名シーンの数々だ。 奮闘活躍するも美しい女性達から見くびられ嘲笑を受けるチャプリンの姿が心に残っている。
現地で知り合い、ガイド役を買って出てくれたクレイさんという男性の父親は石油パイプラインにたずさわったエンジニアの一人で、自分もアラスカの自然が大好きだと言う。
そのクレイさんに金鉱採掘現場やフェアバンクスを一望する高台にクルマで連れて行ってもらった。 もちろん、チャプリンの映画のような極寒の冬ではなく夏だったから白夜である。 夜でもずっと夕暮れのような景色だった。
金の採掘現場というのは初めて行ったが往時の面影を一部感じとることが出来た。 採掘に使われる機械がそのまま残っていたからだ。 博物館や記念館などではなく、それは山の中にいきなり現れた。 一体何年くらい前のものか分からないけど、100年位前のものかも知れない、ビンテージものと言っていい錆び付いた機械がそのまま置き去りにされ、野ざらしになっていて、「黄金狂時代」の世界に一歩踏み入れたようだった。
あちこちドライブしたり、歩いたりしながら気になることがあった。 現地で「オリジナル」と呼ばれるネイティブ・アメリカン(大陸原住民の末裔)で、生活保護を受け、昼間から酒飲んで酔っぱらってフラフラ歩いている人が何人も見掛けていたのだ。
過去の原住民の立派な記念像というのも見た。 実際に話もした。 何だか複雑で悲しい現代社会問題がそこにはあるようだった。 ■
Artwork & Note: DAIGO KOJIMA
2004/11040502
PICTURE:218×174mm
FRAME:378×287mm/G2